塾講師、かく語りき

塾講師、かく語りき

合同会社ディープグラウンド(DG)が運営する、京王線千歳烏山駅にある中学受験塾、烏山進学教室。講師が語る、学問に関係あることないこと。

スイッチ思考

私の前回の記事の続きのお話になります。

 

※前回のあらすじ

 字がきれいになるように練習した。

 余計なことをして平凡な字に落ち着いた。

 さらに、変な癖がついてしまった。

 

精神的スイッチ

前回の最後にありました、字の書き取り練習をしたがためについてしまった

それは、「きれいに書こうと思って書いた時だけきれいに書ける」という癖です。

 

何かの署名とか、年賀状とか、そういうときにはそこそこ見た目のいい字を書くことができるのですが、普段メモ帳とかノートとかに字を書く時には以前の雑なままの字が出てきます。

言ってしまえば、「字をきれいに書くスイッチ」が自分の中に出来てしまったわけです。

スイッチが入っていればきれいに字を書こうとするものの、スイッチが入っていないと練習前のグチャっとした字を書いてしまう。

一見効率的に見えたりもするのですが、これはこれで厄介なのです。

 

この種の精神的スイッチの厄介なところは、「スイッチが入っていないときなら字が汚くてもかまわない」と自分に暗示がかかってしまうことにあります。

そもそも字がきれいと言われる人は、1年365日いつ字を書いてもきれいなのです。

本来目指すべきはここになるわけですが、一方でスイッチの暗示にかかってしまっている人は、スイッチONのときだけきれいに書こうと振る舞うので、普段字を書くこと自体が練習にならず、字がいつまでもきれいにならないのです。

おかげで私は未だに字のきれいな人間になれていません。

 

 

勉強もスイッチだとかどうとか

ここらで塾講師らしいお話をさせていただくと、勉強にスイッチ思考を持ち込むのは危険だと私は考えます。

なぜなら、勉強をする・しないを決めるのは現在の学力であって、本人の気持ちで決められることではないからです。

「夏期講習明けにスイッチが入った」とか「毎日夕方位からスイッチが入って勉強する」とかいうお話をよくお聞きするのですが、これは逆に言うと「夏期講習まではOFFだったから勉強しなかった」「まだ遊びたいからOFF」なんていう誤った判断を許してしまう材料になってしまいます。

スイッチ切り替えの権利を持っているのは結局勉強する本人ですから、甘くしようと思えばいくらでも甘くできるわけですね。

さらに親が「スイッチが入ったら始めてね」なんて言ってしまったら、「じゃあスイッチ入れないでおいてずっと休んでよう」という思考につながるケースも考えられます。

スイッチが見当たらないとか入らないというのは、勉強をしなくてもいい理由になりません。

 

 

そもそも頭の良い人は、1年365日毎日が勉強です。

ここでいう勉強とは、国算理社に限らず、自分の中に知識を蓄積する行動のことを言います。例えば身の回りの疑問点を調べるだとか、料理のレシピや機械の説明書を読むとかですね。

 

羽生永世七冠は、日常生活において常に将棋のことを考えていて、思考が止まるタイミングが無い、と聞いたことがあります。

常住坐臥、将棋。強くないはずがありません。

 

もちろん、そこまで思考し続けられるのは比類なき才能だとは思いますが、理想としては正にそういう状態ですね。

 

 

話の流れがBLACKすぎるので・・・

とは言え、(一部の才能ある人間以外は)スイッチをうまく切り替えて行動しないといつか潰れてしまいます。

運動だって適度に休憩を取らないと、過労で死んでしまいます。

常にスイッチONでいられる人間なんてそうそう居ないのです。

(もし居たらその人は天才で、世の中で大成功を収めていることでしょう。)

 

 

私のような一般人は、残念ながら常にONなんていう極端なことはできません。

勉強したい、仕事したいと思っていても、どうしても頭が動かないことがあるのです。ONがいいとわかっていても、そんなときにはOFFのタイミングが必要なのです。

 

 

ですから、方向性としては、ONの状態をできるだけ長く維持できるようにしたいものです。

・ONにすることをためらわない ← 少しでも長くONの状態に

・ONになったらその状態を維持 ← 持続力をつける

・OFFになるのは仕方ない ← 人間だもの

 

OFFは決して悪いことではありません。

ONできるのにOFFをダラダラ続けることが、成長を阻害するのです。

 

 

精神的スタミナ

テスト時間30分。

分からない問題にも時間いっぱい全力で、ONの状態で向き合う人と、わかる問題を解き終えたら残りの時間を無為に、OFFの状態で過ごす人

前者の方が最終的に上位となることは想像に難くありません。

後者には、わざとOFFにする人もいれば、ONの状態を維持できない人もいます。

 

そんな人には、精神的スタミナが足りていないのだと思います。

精神的スタミナとは、精神力を維持するのに必要な力のこと。

今回の例で言うと、30分間スイッチONの状態でいるのに必要なだけの精神的スタミナが、後者には無いのです。

 

精神的スタミナをつけるには、自分の意志でできるだけ長く、1秒でも長くONの状態を維持する練習が必要です。

練習は何でも構いません。1問でも多く問題を解くとか、1秒でも長く走るとか、1文字でもきれいな字を書くとか、1gでもいいから砂糖を我慢するとか。

そういう前向きな精神に、結果はついてくるのだと思います。

 

勉強したくないと思うときは、誰にでもあるものです。

そのOFFの状態をダラダラ続けていては、それが常態化し、自分の成長を止めてしまうことになります。

スイッチは自分の意志で切り替えることが必要です。

自分で切り替えられるように、学力とともに精神を鍛えていきましょう。

 

 

・・・でも、どうしてもONにならないときは、誰かに喝を入れてもらってもいいかもしれませんね。

 

そのようなご相談も、いつでもお待ちしております(笑)