算数の問題の中で、最も単純なのが計算問題。
どこの学校の入試問題にも必ず最初に数問あり、四則計算、小数分数の計算を正確に行えば点数がもらえるので、非常に点数の取りやすい問題です。
ところが、計算問題を間違えてしまう生徒がいます。
計算は、算数すべての基本です。
決して間違えないようにして、もったいない点数落としをなくしましょう。
・・・というのはすべての算数教師が口をすっぱくして言うことですが、現実として計算ミスが無くなることはありません。
かなり偉そうに書きましたが私にももちろん計算間違いはあります。
人間はミスをします。本人の意思とは関係なく。
性格の影響もありますし、決して数か月、数年で何とかなるようなものではないのでしょう。
では、ミスをする前提で試験を受けるとどうなるか、考えてみます。
例えば、「20回の計算で1回はミスをする」人がいたとします。仮にM君としましょう。
M君は、自分の意思とは関係なく、20問に1問は点数を落としてしまうことになります。
ですから、1問5点の計算問題を20問解いたら、M君は95点になると考えられます。
さて、入試の問題は、1回の計算で終わるような問題はほとんどありません。
【1】の(1)で出題されるような計算問題でも、
{ 3.9×1.4+0.9×(1.25-0.86) }÷3
のようなものになります。
この場合、問題を解くために必要な計算数は
(1) 1.25-0.86
(2) 3.9×1.4
(3) 0.9×0.39
(4) 5.46+0.351
(5) 5.811÷3
と、5回は計算しないと答えが出ないのです。
で、これと同じような計算問題が4問出題されているとすれば、計算回数は20回。
この時点で、20回の計算で1回はミスをするM君だったら1問、つまり5点落としてしまうことになります。
さらに、入試問題は計算だけではありません。図形、割合、速さなど、あらゆる分野から出題されます。問題によっては計算回数が5回どころか、10回や20回になることもあるでしょう。
M君の場合、計算回数が10回の問題は2問に1問落とし、計算20回の問題は必ず落としてしまうわけです。
M君は、ある試験を受けました。
計算問題は、計算ミスさえなければ間違えません。
それ以外の問題は、解き方がわからないものが20点分ありました。これらはもう「絶対に解けない問題」ですので脇に置いておくと、この時点でM君は残り80点で勝負することになります。
ですが、M君には「20回に1回計算を間違える」という性質がありますので、これに従って、ざっくり4問に1問はミスで落とすことにしましょう。
するとM君が取れる点数は4分の3となり、期待される点数は60点となります。
言い換えると、20点分はミスによって不意にしたことになります。
もしこれと同じテストを「同じレベルの学力で、計算ミスが一切ない」P君が受けたとすれば、80点取れます。
ミスの有無で20点の差がつき、合否に大きく影響が出るのは明らかです。
さすがにこれは極端な例ですが、期待される点数がミスのない人に比べて低く出るのは間違いないでしょう。
現在やっている勉強は、解き方がわからない問題の解法を学ぶ勉強。
上の例で言うと「絶対に解けない問題」を減らす勉強です。
ですが、いくら「絶対に解けない問題」が0点分になったとしても、「計算ミス」がある限り、不合格になる可能性は消えません。
算数のすべてにかかわる計算だからこそ、たかが計算と侮ることなく、丁寧にしっかりと計算力を蓄えていってほしいものです。
ちなみに、計算ミスの多い生徒には
・字が汚い
・途中式を書かない
・図を書かない
・問題文をよく読まない (読めば間違えないというわけではない)
という、いかにもな特徴があるような気がしています。
※個人の感想です。
計算ミスがあり、さらにこれにあてはまる人は、心を入れ替えてきれいな解答作成を心がけてね。