塾講師、かく語りき

塾講師、かく語りき

合同会社ディープグラウンド(DG)が運営する、京王線千歳烏山駅にある中学受験塾、烏山進学教室。講師が語る、学問に関係あることないこと。

コロ説を賜る

ネタの宝庫

今週は珍しく(!?)ブログのネタが満載だった。

しかし、心優しい私末廣は、

水曜日のために「入学式」を、

木曜日のためにボードゲーム大会」を封印し、

いつものように、授業中で扱ったボードゲームについて書いていきたい。

 

コロレット

今週は、私がボードゲーム大会で担当したコロレットを取り扱った。

詳細は下記から。

 

www.youtube.com

 

実は、私が担当したという以上に、このゲームを採用した理由がある。

それは、説明書がわかり辛いのである。

こう書くと、説明書の表記に問題があるようにも思われるかもしれない。

しかし、そうではない。

やってみると簡単なのだが、文字にすることが難しいのである。

実際にやってみると、「なるほどな」とすぐに理解できる。

(戦略的に立ち回る子尾ができるかどうかは別である。)

写真は、生徒たちが自分たちで解釈し、進めたところである。

f:id:dg-daiyo:20180410191546j:plain

下記サイトの写真と比べると、明らかに異なる。

www.tk-game-diary.net

 

理由としては、大きく三つであった。

一つ目は、定義を正確におさえられなかったこと。

二つ目は、平面的に文章をとらえてしまい、場合分けが上手くいかなかったこと。

三つ目は、客観的ではなく、先入観にとらわれて読んでしまったこと。

 

定義がすべて

初めて見るもの、聞くことは何といっても「定義」がとてつもなく大切である。

大人であれば、言うに及ばないことであるが、小学生の場合、意外と「なんとなく」ファジーにおさえたまま、先に進んでしまう。

結果、自分の手元に置いておくべき「得点チャート」と、

全体の中央に置くべき「列カード」を取り違えてしまうという、大惨事が巻き起こった

定義を取り違えるとどのようなことが起きるか、それは全く違うゲームになってしまうのである。

国語の授業中も当然のように、「本文中での単語の使われ方」を意識する指導はする。

しかし、国語の苦手な生徒にとって、というか、文章に触れる機会が圧倒的に少ない生徒にとっては、異国の言語でありがたいお説教を頂戴しているような状態となってしまうのである。

そういう意味では、今回、「ゲームとして成立しない」という現実をきちんと体験できたというのは、とても大きな意味があったように思う。

小学生の場合には、やはり経験から具体的に入っていく方が直截的でよいのだろう。

 

文章も立体的に

例えば、このゲームにおいて、手番プレイヤーは下記の二つの方法をとることができる。

A:山札からカードを引き、列に並べる。

B:任意の列をすべて引き取る。

 

そして、これらに関して詳細に説明がなされているのであるが、

表面的、平面的に字面だけを追ってしまい、Aに関する説明と、Bに関する説明混同してしまう。

その結果、山札から取ったカードを自分の前に並べるという、

「A+B」の選択肢が完成してしまうのである。

これも、「場合分け」に関する議論であるが、

いきなり、「1の位が0の場合」と「1の位が2,4,6」の場合に分けて考えると…

とやるよりも、実際に間違える経験をすることで、

「場合分け」の概念を身をもって感じることができる。

「場合分け」の応用性は、社会に出てからも重要であるため、

この感覚はいち早く身に着けてほしいものである。

 

思い込みは最大の敵

最後は、「先入観」である。

「同じカードは重ねて良い」という先入観により、何のゲームで養成された先入観かはわからないが、

写真のカードは同じものが重ねられている。

これでは、コロレットというゲームは崩壊してしまう。

問題なのは、このゲームの説明書に「重ねる」という文言が一つもないことである。

文章に書かれていないにも関わらず、行動してしまうということは、とても危うい。

説明者の予期せぬ行動をとり得るということは、不測の事態を起こしかねない。

この点は、そこまで「身をもって」とはならなかったが、やはり注意が必要なところだ。

 

説明書の説明

説明書の読み込みと確認、プレイを終えた後、

説明書を見ずに、コロレットの説明書を作製してもらった。

「説明する」という観点で、文章を作製することは、思いの外、難易度が高い。

もちろん、完全なものではないとはいえ、

その意味においては、よくできたと評価してよいのではないかと思っている。

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私も負けじと「勉強の仕方」なる説明書を……完成する日がくるのか。