この数週間、分数の学習について見直す機会がありました。
私の小学校時代を思い出すと、分数は、整数や小数で計算していたところに突然現れた厄介な数という印象が強いものでした。小数だけで全部できればいいのに・・・と考えていたものです。
ところがその評価は中学校で一転。中学数学以降では小数よりも分数の方が登場機会が多く、小数はほとんど見かけなくなります。
小数が出てくるのは主に理科でしたね。
分数は、数学を扱う上では絶対に外せない計算技術となっていきます。
ところでこの分数、小学校のカリキュラム的には、ザックリいうと
まず3年生で簡単な分数に触れ、
4年生で同分母分数のたし算ひき算、
5年生で異分母分数のたし算ひき算、
6年生でかけ算わり算+小数との計算
という順で学習していくことになっています。
(実際はもうちょっと細かかったり学年をまたいだりしますが。)
ですから、小学校の学習で分数が完璧になるのは6年生になってからということになります。
しかし、中学受験の世界では、分数はあらゆる単元で必要となります。
平面図形のおうぎ形、速さの単位変換、割合では相当算など、分数が出てこない単元の方が少ないくらいです。場合の数ならあまり出てこないかな?
これらの単元をもし、6年生で分数を完成させてから始めるとすると、6年生の中盤以降から速さなどを始めることになりますので、おそらく時間が圧倒的に足りません。
ですから分数はできるだけ早く押さえておきたいところです。
そもそも小学校のカリキュラムは、1学年のうちに計算・図形・数量などのいろいろな単元に触れながら進行していきます。
この方法だと、学年相応の学力に合った学習内容を学び進めていけるし、例えば3年生でやった内容を使って4年生の勉強をすることでくり返し効果もあるでしょう。満遍無く学習範囲を広げるのならこの方法ですね。
しかし、各単元の深い学習には手が回らない弱点があります。
それに対して塾(少なくとも当塾)の学習方法は、1つの単元を最後まで掘り下げて、一通り終わったら次の単元に取り掛かるという、深掘り方式をとっています。
受験で出題される算数の問題は、小学校の算数では対応できないような問題もたくさんあります。そのような問題に対応するには、ある単元に意識を集中し、一気呵成に難しい問題まで解き進めていくのが最良手です。
で、これを実行するためには、計算の範囲を分数まで先に全部終わらせておく必要があるのです。
解き進める際に分数が出てきたからまた今度、では、勢いが削がれるわけですね。
小学校の学習と塾の学習では目的が若干違いますので、方針が違うのはある意味当然です。
小学校のやり方を否定するわけではありませんが、受験を志すのであれば、それに合った方法をとるのが良いかと思います。
さらに、塾によっても学習方法は違いますので、小学校のスタンダードな学習方法にこだわるのではなく、いろいろなやり方を見てみるのもよいかもしれません。
ところで、この学習方法の違い。
食事でいうところの「三角食べ」と「コース料理」に似ていますね。
小学校の学習は、いろいろな単元を交互に食べ進めていく「三角食べ」。
塾の学習は、ひとつの単元を味わい尽くして次に移る「コース料理」。
どちらがいいかと言われると何とも言えませんが、まぁ、それぞれに利点がある、ということで。