ガラパゴスと呼ばれて
桐朋女子の専門塾だった沿革から、
弊社には、「口頭試問」という授業がある。
(現在は、御三家以外の女子中に広く対応しています。
大手塾で一番上のクラスでない方、
御三家以外の学校が第一志望の方は、是非、一度ご相談ください。)
弊社の模試に関して、「口頭試問」は、私が全て担当している。
この科目が、また、評判が良く、評判が悪い。
問題を見て、解説に目を通した方(解説は2万字ほどあるので、全部お読みになる方は極めて少数ですが(笑))からは、
お褒めの言葉を預かることが多い。
一つの試問を作るのに、平均して15冊以上の本に目を通すため、
一つのテーマに関して、アラカルト的に多様な問題が並ぶ。
設問形式も、準備授業で導入をするもの、自分で読み進めるもの、
試問室でいきなり解答を求められるものと、受験生は対応に四苦八苦である。
さて、誰からの評判が悪いのか、一つは塾長である。
理由は単純。
問題が多様すぎるあまり、あまりに時間がかかるからである。
一人当たり、20分を想定している試問であるが、
現状、20分台で回すことができるのは、作成者の私のみで、
教育者精神に溢れる他の教員は、平均40分程度の時間を要する。
一人に40分も試問する、何と愛に溢れる模試ではないか。
何だかんだで、好き勝手に作問させてくれる塾長にも感謝である。
そして、もう一つ。
合格者祝賀会で言われるこの言葉。
「本番の口頭試問、すごく簡単だった」
「マジ、〇〇問でしたよ。」(〇の中は女子専門塾のため控えさせていただきます。)
ここで言い訳をさせてほしい。
確かに、私の問題も年々、進化してしまっている側面は否めない。
しかし、しかしである。
元々は、発想系の問題も多く、予想問題も当たることはなかったのである。
私の問題もガラパゴス口頭試問と呼ばれているが、
ご本家には、今一度、至高の問題を目指して頑張っていただきたい次第である。
口頭試問からDGラボへ
このような背景もあり、現在、口頭試問の授業を改変している。
内容としては、「ボードゲーム」も活用しながら、
「主体的に考える」訓練をすることに主眼を置いている。
内容としては、
・ストーリーキューブを用いて制限時間に適した話を創作する
・ボードゲームを説明をもとに実施する。
・その説明、戦略について考え、書く。
・当該ボードゲームを知らない教員にルールを説明し、必勝法が有効か試す。
・従来通り、口頭試問
といったところだ。
まずは、ストーリーキューブだが、思いのほか、難しい。
写真を見てもらえば、わかると思うが、
これらがすべて出てくる3分のお話を、即興で作るとなると、
大人でも苦心することは必至である。
これにより、「脳みそフル活用状態」が作られる。
もちろん、作文でもよいのだが、
「話す」という行為の方が、より「考える」という作業を引き出しやすい。
次に、ボードゲームであるが、15分程度の簡易なものを使用している。
それゆえ、ゲーム自体は何とか滞りなくプレイできる。
最初の関門は、「ルールの説明」である。
この説明をもとに、実際にやったことのない教員にプレイさせるので、
説明が心許ないものだと、プレイがうまくいかないこともある。
さらに、「戦略」となると難しい。
実際に、プレイしてみると、飲み込みの早さや、先を読む力は一目瞭然なのだが、
ビギナーズラックは当然に付きまとう。
その中で、どのようにすれば、「勝つ確率をあげるか」という議論は、
思いのほか、小学生には難しい。
しかし、この議論の中に、「場合分け」や「確率論」のベースのようなものは隠れているし、
全体を見通す、仕組みを理解する力は必要になってくる。
また、「ゲーム」の場合には、必然的に「勝敗」が付くため、
モチベーションを設定しやすい。
「テスト」も点数が明確なので、モチベーションを設定しやすいようにも思われるが、
より、ボードゲームの方がやりやすい印象だ。
今後のDGラボ
この授業では、「主体的に考える楽しさを実感する」ということを最重要視し、
今後も色々な形にチャレンジしていきたい。
本来的には、定型化された形式でない方が望ましいと考えているため、
前述の主題に沿った形であれば、フィールドワークなども随時取り入れていきたいと考えている。
理想形は、4人の教員が1週ずつ自分の得意なことを授業で展開することではないかと思いつつ、今年は男子もスタートしていたりと、何かと慌ただしいDGである。